売れるもマーケ 当たるもマーケ – マーケティング22の法則

▼本記事の内容
  1. 第1章 一番手の法則
  2. 第2章 カテゴリーの法則
  3. 第3章 心の法則
  4. 第4章 知覚の法則
  5. 第5章 集中の法則
  6. 第6章 独占の法則
  7. 第7章 梯子の法則
  8. 第8章 二極分化の法則
  9. 第9章 対立の法則
  10. 第10章 分割の法則
  11. 第11章 遠近関係の法則
  12. 第12章 製品ライン拡張の法則
  13. 第13章 犠牲の法則
  14. 第14章 属性の法則
  15. 第15章 正直の法則
  16. 第16章 一撃の法則
  17. 第17章 予測不能の法則
  18. 第18章 成功の法則
  19. 第19章 失敗の法則
  20. 第20章 パブリシティの法則
  21. 第21章 成長促進の法則
  22. 第22章 財源の法則

著者プロフィール: アル・ライズ
アメリカ合衆国のマーケティング戦略家。インディアナ州のDePauw大学を卒業。ジャック・トラウトと共に、「アドバタイジング・エイジ」誌に連載した「ポジショニング時代の到来」で注目され、現代マーケティングの第一人者として知られるようになった。

著者プロフィール: ジャック・トラウト
アメリカ合衆国のマーケティング戦略家。ゼネラル・エレクトリック社の広告部門でキャリアをスタートさせた。その後、アメリカのタイヤ・メーカーユニロイヤル社の宣伝部長になった。アル・ライズと共に、「アドバタイジング・エイジ」誌に連載した「ポジショニング時代の到来」で注目され、現代マーケティングの第一人者として知られるようになった。

今回の本は、マーケティングでトップクラスに有名な本です。マーケティングは概念枠組みの組み立てであるという内容は、マーケティングの本質を突いていると言われています。
今回は、読んだ際に各章でハイライトした内容を若干の修正を加えてリストアップしています。

第1章 一番手の法則

• マーケティングの基本的な課題は、あなたが先頭を切れる分野を創造することである。
• マーケティングとは、知覚をめぐる戦いであって、商品をめぐる戦いではないのだ。

第2章 カテゴリーの法則

• 一番手になれる新しいカテゴリーを見つければいいのだ。

第3章 心の法則

• 市場に最初に参入するよりも顧客の心の中に最初に入り込むほうがベターなのである。一番手の法則においては、心の中に最初に入り込むことはあまり強調されないが、実はこれこそマーケティングのすべてである。

• もし人の心の中にある何かを変えたいのであれば、それは諦めたほうがいい。あるマインドがすでに出来上がっている場合は、それが変わることはまずありえない。マーケティングにおいて最も無駄な行為は、人の心の中を変えようとする試みである。
• あなたが他人に強い印象を与えたい場合には、その人の心の中に徐々に入り込み、ゆっくりと時間をかけて好意を醸成しようとしたのではだめだ。心というのはそんなふうには動かない。心の中には一気に入り込まなければならない。徐々にではなく一気に勝負すべき理由は、人々は自己の心を変えたがらないという点にある。

第4章 知覚の法則

• マーケティングの世界に存在するのは、ただ、顧客や見込客の心の中にある知覚だけである。知覚こそ現実であり、その他のものはすべて幻である。
• ある商品に関して、自分自身の知覚ではなく、だれか他の人の知覚をもとに購入決定をするのである。これが「周知の事実の法則」と呼ばれるものだ。

第5章 集中の法則

• 会社が見込客の心の中に一つの言葉を植えつける方法をみつけることができれば、信じがたいほどの成功を収めることが可能である。複雑な言葉である必要はない。独自な言葉である必要もない。辞書からすぐに引っ張りだせるような、簡単な言葉がベストである。
• マーケティングにおいておよそ無駄と思われるのは、自分が使ってきた言葉をほったらかしにして、他人の支配下にある言葉を物色することである。
• マーケティングの基本は、焦点を絞り込むことである。活動の領域を絞れば絞るほど、立場が強力になる。

第6章 独占の法則

• 自分の競合会社が顧客の心の中にある言葉を植えつけていたり、あるポジションを占めている場合に、その同じ言葉を植えつけようと試みるのは無駄である。

第7章 梯子の法則

• 二番手、二番手のブランド用に使える戦略がいくつかあるのだ。
• 顧客の心の中ではあれこれ選択が行なわれる。顧客は、どの情報を受入れ、どの情報を斥けるかを決めるに当たって、自分なりの梯子を使う。一般に心の中は、当該カテゴリーにおける自己の商品の梯子に合致する新しいデータのみを受け入れる。ほかのものはすべて無視される。
• 梯子の段数の上限はいくつであろうか。顧客の心の中には「七段の法則」なるものが存在しているように思われる。

第8章 二極分化の法則

• 初めのうち新しい商品カテゴリーの梯子には、多数の段がついている。ところが次第に、その梯子が二段式梯子に変わっていく。
• 明確なナンバーツーが不在というケースがしばしばある。その場合、以後の推移は、競争各社の戦術の巧みさによって決まる。

第9章 対立の法則

• あなたが梯子の上から二段目にしっかりした足場を築きたいのであれば、まずあなたの上段にいる会社を研究しなさい。その会社の強みはどこか。どうすればその強みを弱みに転じることができるか。
• あなたがしなければならないことは、ナンバーワンのエッセンスを見つけ出し、顧客にそれと反対のものを提供することである(相手の上を行こうとしないで、相手との差別化を図るのである)。これが、しばしば見られる伝統企業対新興企業の図式である。

第10章 分割の法則

• マーケティングの舞台は、たえず拡大を続けるカテゴリーの海とみなすことができる。
• カテゴリーは分割されこそすれ、結合することはないのだ。

第11章 遠近関係の法則

• 化学的に見れば、アルコールは強い抑制剤である。しかし飲んだ直後は、人の心の抑圧を押え込むことによって、あたかも興奮剤であるかのような働きをするのである。多くのマーケティング活動が同じような現象を示す。長期的なマーケティング効果は、短期的な効果の正反対である場合が多いのである。

第12章 製品ライン拡張の法則

• 本書の法則のうちで、断トツに破られている法則といえば、何と言っても「製品ライン拡張の法則」である。さらに悪いことに、ラインの拡張は企業サイドが意識的な努力をほとんどしないでも、連続して起こるプロセスなのである。
• 会社が商品や市場、提携先を増やせば増やすほど、収益は減少するのだ。「あらゆる方角にフルスピードで突っ走れ」というのは、危険な吊橋からの呼び声であるといってよい。

第13章 犠牲の法則

• 「犠牲の法則」は「製品ライン拡張の法則」の反対である。
• 犠牲にできるものとしては、三つのものが考えられる。すなわち、製品ライン、ターゲット市場、絶えぎる変更の三つである。

第14章 属性の法則

• あなたは独自の言葉を見つけ出して顧客に植えつけなければならない。何か別の属性を探し出さなくてはならないのである。
• ナンバーワンと張り合えるような正反対の属性を探してみるほうが、はるかに利口なやり方だ。ここでのキーワードは「正反対の」である。「同じような」ではだめだ。

第15章 正直の法則

• まず何よりも正直は、相手の心を開かせる。あなたが自分について語るネガティブな言葉は、即座に本当のこととして受け入れられるのである。
• 正直の法則は注意深く、かつ巧みに利用しなくてはならない。第一に、あなたのネガティブなメッセージが、ネガティブなものとして広く認知されることが肝心である。顧客の心に瞬間的に同調心が湧くようぞないといけないのだ。もしネガティブ性がとっさに理解されないようだと、顧客は戸惑い、「いったい、これは何だ」と、疑間を抱くことになるからだ。

第16章 一撃の法則

• 歴史の教訓によれば、マーケティングにおいて実効を上げうる唯一の行動は、一回きりの、大胆な一撃である。さらに、いかなる状況においても、実質的な成果を上げうる作戦行動は一つしかありえない。

第17章 予測不能の法則

• たいていのマーケティングプランにそれとなく含まれているのが、未来についての仮説である。けれども、未来予測に基づいて立てられたマーケティングプランは、たいがい失格である。
• 競合各社の反応を見通せないことが、マーケティングで失敗する主な理由である。

第18章 成功の法則

• あちこちで見られる製品ライン拡張の背後にある決定的なきっかけは、ブランドの成功である場合が多い。あるブランドが成功すると、会社はブランド成功の主な理由が、ブランドネームにあると思いがちである。そこで彼らはすぐさま別の商品を探してきて、それにそのブランドネームをくっつけるのだ。
• あなたが自分のブランドや社名にこだわればこだわるほど、ライン拡張の危険な罠にはまりやすくなる。

第19章 失敗の法則

• たいていの会社はとかく物事を見限るよりも、何とか取り繕ってみようとする。

第20章 パブリシティの法則

• 実態は、マスコミに現われる姿とは逆である場合が多い。
• 万事が順調であるとき、会社はパブリシティを必要としない。パブリシティを必要とするのは、たいてい困った時である。

第21章 成長促進の法則

• 成功するマーケティング計画は、―時的流行現象(ファッド)の上に築かれるのではない。トレンドの上に築かれるのだ。
• もしあなたが疑いもなくファッドの恩恵に浴して、急成長しているビジネスに携わっているとすれば、一番いいのはそのファッドに水を差すことである。水を差すことによって、ファッドを長持ちさせるのだ。そうすれば、ファッドがトレンドにより近いものとなる。

第22章 財源の法則

• マーケティングとは、顧客の心の中で争われるゲームである。顧客の心の中に入っていくには、資金が要る。そしていったん入り込んでも、そこに留まるにはまた資金が必要なのである。
• 金のないアイデアは全く無価値であるとはいえないにしても、まあ、無価値に近い。


ご興味のある方はこちらからご購入いただければと思います。


フォローして最新情報をチェック!

広告

企画脳

著者プロフィール: 秋元康
作詞家。高校時代から放送作家として『ザ・ベストテン』など数々の番組構成を手がける。1983年以降、作詞家として、美空ひばり『川の流れのように』をはじめ、中島美嘉『WILL』、EXILE『EXIT』ほか、数々のヒット曲を生む。2008年11月、ジェロ『海雪』にて第41回日本作詩大賞受賞。1991年、松坂慶子・緒形拳主演『グッバイ・ママ』で映画監督デビュー。企画・原作の映画に『着信アリ』シリーズ、『伝染歌』など。2005年4月、京都造形芸術大学教授、2007年4月、同大学副学長。TV番組の企画構成、新聞・雑誌の連載など、多岐にわたり活躍中。アイドルユニット “AKB48″と”SKE48″の総合プロデューサーも務める。

今回は敏腕プロデューサーである秋元康さんの本です。
企画力で有名な秋元さんがどのようにアイデアを生み出しているかについて綴った本です。

本書の構成は以下のようになっていますが、今回は企画力に絞って紹介していきます。

第1章 企画・発想力をつける基礎体力術
第2章 抜群の切れ味を生む発想・企画術
第3章 「引き出し」と「裏切り」の企画術
第4章 相手に「YES」と言わせるプレゼンテーション術
第5章 感性と知性を磨きあげる勉強術
第6章 知的生活のための情報整理術
第7章 発想・企画のセンスを磨く恋愛術
第8章 信頼と人脈を広げる「つきあい」術
第9章 ツキを味方にする企画・発想術

本記事で扱っていくポイントは以下です。

▼本記事の内容

1. 企画の基本

一番はじめに述べられているのは、自信を持てということです。企画とはそもそも正解のない仕事であり、企画する際に自分以外信じられるものがないのです。これはどの仕事にも当てはまることですね。
以下、企画の基本です。

企画はこだわり・思いつきから生まれる
どんな大きな企画でも、最初の種は小さな記憶やこだわり、気付きから生まれてくるもので、それを大きく育てているのです。ここでは、苺の季節に苺の香りのお茶を出すという例が出されています。

プロデューサーたれ
アーティスト的な観察眼ではなく、プロデューサー的な観察眼・状況判断が必要です。「求められているものは何か?」と考え、そこから何かを作ったり、指示を与えたりするのがプロデューサーです。アーティストは逆に自分が作りたいものを作るという視点なので、それが世の中にうけるかどうかという視点は入っていません。

専門性・得意分野を持つ
ビジネスマンの基本は人付き合いです。そして人付き合いは自分の専門性によって深度が異なります。自分の専門性は自分の興味の対象や得意分野で決まってきます。ここでは記憶に残る幕の内弁当はないと述べられていますが、薄く広くのタイプは印象に残らないですね。

負の要素を持つ
意外かもしれませんが、自分の苦手分野を持つということも大事です。どんなに素晴らしい企画でも、必ず負の部分は存在するので、あえてそれを言って得意分野を際立たせる方が重要です。

日常からはみ出す
日常のルーティンから外れるというのは基本です。喫茶店で知らないメニューを頼む、違う道を歩くなど、抜きん出るためには同じ日常のリズムからどうはみ出していくかということ非常に大事になります。

武器を探す
武器を探す=「自分なら何で勝てるかを知る」ということです。武器は笑顔が素敵かもしれませんし、我慢強い、裏切らないかもしれません。自分はどうすれば勝てるのかというのを自分自身の中に探すことが大切です。

2. 企画・発想術

そもそも発想には2つの方法があります。
1つは机上で考える発想で、もう1つは街に出てからの発想です。

机上で考える発想は「モグラ叩き」と述べられていて、「〇〇のための企画を作る」といったゴールがあり、上のプロデューサー的視点が使われます。

本著の中では、

人と違うところに種を蒔く
時代はケーキ
「あの」がつくもの
予定調和をくずす

と表現されています。一つずつ見ていくと、

人と違うところに種を蒔く
「歴史は繰り返す」という基本の下、どこに種を蒔くかというのを考慮します。当たり前ですが、流行ったものの後追いでは優れた発想にはならず、今流行っているもの、かつ、世の中には反動があるという知識・前提の上に、世の中に受けそうなものを先回りして作らなければならないということですね。

時代はケーキ
世の中で流行るもののベースは同じだということです。ケーキはたくさんの種類がありますが、基本的には三角の形、上にはデコレーション、下はスポンジケーキというベースの構造は共通しています。企画を考える際には、「デコレーション」と「スポンジ」はどう変化していくか?と考えるのが原点になります。

「あの」がつくもの
「あの」コギャルの神様、「あの」モノマネしてるニューハーフ、「あの」節約生活対決。
ヒットする時は必ず、一言で言える「あの」が付きます。逆に企画視点では、どうやって「あの」を作り出すかが大切なポイントです。秋元氏の場合は売る対象物を思い浮かべてから、「あの」を考えまわすそうです。

予定調和をくずす
勝てる企画は、どう裏切っていくかが常に大事です。誰もが考えるような企画からは新しいものは生まれません。「セーラー服」ならおそらくこう来るだろうと予想される時、どれだけ違うモグラを出していけるかが発想して面白く、勝てる発想術です。

次に街に出てからの発想です。
こちらは普段の生活の中で、自分のフィルターを通して、どれだけ面白いものをインプットし、蓄積しておけるかに関してです。

そもそも、街の中にはたくさんのものがあり、その中から面白いものに気づくかどうかが一番の鍵です。そのためには、意識的に街を観察する、興味を持つ、見てみるといったように行動に移していかねければなりません。同じ街を歩くにしても、その景色をどれだけ目に入れられるか、面白いものに気づいて蓄積していけるかが、発想の豊かさにつながります。その蓄積したものを組み合わせていくというのが企画というわけです。

秋元氏の例では、「アメリカになぜガムシロップがないのか?」「ニューヨークの工事現場の塀にはなぜ穴が空いているのか」「ニューヨークのミュージカルでは開演の合図をシャンデリアの点灯で合図する」「ネギはそもそも万能なのになぜ万能とついているのか」といった例が紹介されています。

僕の理解した中では、ヒットする企画というのは時代の流れにあっていて、根本が優れており、キャッチーであるという要件を満たしています。
「時代がこうなる」という読みの下に、先回りしてリリースする感覚です。
時代の流れを読むというのは、マーケティング的&プロデューサー的視点です。上の「人と違うところに種を蒔く」「時代はケーキ」というのが当てはまります。

根本が優れているというのは、面白いものを作るということですね。時代が違っても、ヒットするものは根本が共通しています。これを秋元氏はカルピスの原液と表現していますね。これは人々の蓄積してきた面白いものの組み合わせによって生まれます。

キャッチーというのもセールス的・プロデューサー的視点です。時代のニーズに合うような対象物を人々の心に刺さるようなキャッチフレーズで売り込むことでヒットにつながります。

3. 勉強・情報整理術

ヒットする企画はユニークな価値ある情報から生まれます。

では、そもそも価値ある情報とはどういう情報のことを言うのでしょうか。
秋元氏によると、価値ある情報は「混沌としている整理できない、自分だけが面白いと思っている情報のこと」です。誰もが知っている情報は知識であり、価値はありません。

これを言語化すると、整理はされていないけれど、何か自分の面白いフィルターに引っかかって頭の中に蓄積されている情報となるでしょう。

これは先ほどの「万能ネギ」や「ニューヨークの工事現場の塀の穴」と言ったものです。

企画はこのような無数の、自分の面白いフィルターに引っかかった情報の組み合わせでできるものなのです。

では、このような状態をどのように作り出すことができるのでしょうか?
以下がポイントです。

専門・得意分野を持つ
勉強と身構えない
他人が捨てた情報に目を向ける
独断と偏見を意識する
整理できない情報こそ重要
ツールに踊らされない
時代の最先端にいる必要はない
何を捨てるかを考える


専門・得意分野を持つ
上でも出てきましたが、勉強の方向性と深度が重要です。ある分野に詳しければ、他の人に教えてあげることもでき、武器を作ることができます。

勉強と身構えない
勉強すると身構えるのではなく、普段の生活の中でアンテナを高く張っておき、吸収していく姿勢が重要です。勉強と身構えて、他の人と同じ情報を仕入れていても、それは知識に過ぎず、価値はありません。

他人が捨てた情報に目を向ける
逆にどんな情報を自分は持てば良いのかについてですが、他人が捨てた情報の中で、自分なりの読み方で面白いと思うものです。ここでも情報は整理する必要はなく、自分なりの解釈で面白いと思うものをピックアップすることで、アイデアが出やすい脳の状態にすることができます。

独断と偏見を意識する
上の項目とも重複しますが、情報は自分なりの読み方・面白いと思うものをピックアップするのが重要です。同じものを見ても、そこからどういう気付きを得るか、どういうフィルターをかけるかは完全に自分の独断と偏見によって良いのです。

整理できない情報こそ重要
これはなかなか理解が難しいかもしれませんが、価値ある情報は自分が面白いと思って頭に蓄積したもので、それは混沌としたまま「原石」として頭に蓄積されます。それが企画立案やアイデア出しの時に、何かの引っ掛かりで出てくるのです。その整理されていない情報をどう磨いていくかは、その人の感性によるところです。

ツールに踊らされない
カルピスの原液にも似ていますが、重要なのはツールではなく、面白いものを作るということです。ツールが面白いものを作るわけではないですね。

時代の最先端にいる必要はない
何か最先端の情報を取得していないと競争に関わる仕事の人以外、情報の最先端にいる必要はありません。情報の最先端には熱があり、それは人々を惑わせます。大事なのはそのねつに踊らされず、根本的に何が大事なのかを見極めることです。

何を捨てるかを考える
一番上の専門・得意分野を持つと表裏一体ですね。全てに詳しくということはありません。専門分野を持つために何かを捨てるという表現の方が正しいかもしれませんね。


興味のある方は、こちらからご購入いただければと思います。


フォローして最新情報をチェック!

「ついやってしまう」体験の作り方

著者プロフィール: 玉樹真一郎
1977年生まれ。東京工業大学・北陸先端科学技術大学院大学卒。プログラマーとして任天堂に就職後、プランナーに転身。全世界で1億台を売り上げた「Wii」の企画担当として、最も初期のコンセプトワークから、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークサービスの企画・開発すべてに横断的に関わり「Wiiのエバンジェリスト(伝道師)」「Wiiのプレゼンを最も数多くした男」と呼ばれる。
2010年任天堂を退社。青森県八戸市にUターンして独立・起業、「わかる事務所」を設立。全国の起業や自治体などで、コンセプト立案、効果的なプレゼン手法、デザイン等をテーマとしたセミナー、講演、ワークショップ、プレゼン等を年60回以上おこなうほか、コンサルティング、ウェブサービスやアプリケーションの開発等を行いながら、人材育成・地域活性化にも取り組む。
2011年5月より特定非営利活動法人プラットフォームあおもりフェロー。2014年4月より八戸学院大学・地域経営学部特任教授。2019年4月より八戸学院大学・学長特別補佐。2017年4月より三沢市まちづくりアドバイザー。著書に『コンセプトのつくりかた』(ダイヤモンド社)がある。

わかる事務所

「ついやってしまう」体験のつくりかた

この本は体験デザインに関する本です。以下の3つのテーマについて扱っています。

「つい」やりたくさせてしまう

「つい」熱中させてしまう

「つい」誰かに言いたくさせてしまう

「つい」やりたくさせてしまう

ここでは、「直感のデザイン」という体験デザインが使われています。直感のデザインとは、シンプルで簡単な体験をデザインし、ユーザーになにをすれば良いのかを「直感的」に伝え、物語全体の簡単な予感を抱かせる方法です。人間に共通する性質を利用することで、直感的にわかりやすく伝え、ユーザーの自発的な体験・学習を誘発し、「やってしまう」体験をデザインしています。

人間の脳は仮説を抱いて試行し、それが正しかった時に歓喜する性質があります。この体験ループ自体が、「ゲームが面白い」という状態です。なので、「つい」やりたくさせてしまうために、直感デザインを用い、以下のような体験ループが使われています。

1. 仮説 自発的に「◯◯するのかな?」という仮説を立てる
2. 試行 自発的に「◯◯してみようかな?」と試しに行動を起こす
3. 歓喜 自発的に「◯◯で正解だった!」と歓喜する

ここでポイントなのは、いかにこの体験がシンプルでわかりやすいかということです。この本の中では、マリオが例に使われていますが、マリオの初期画面はユーザーにいかにわかりやすく「右に行く」というルールを伝えるかが最重要視されており、そのわかりやすさのために面白そうという見た目を犠牲にしているそうです。

「つい」熱中させてしまう

直感のデザインは体験の基本となるデザインですが、欠点もあります。それは連続するとユーザーに疲れと飽きをもたらし、体験自体を止めてしまうという点です。
そこで必要となってくるのが、「驚きのデザイン」です。

「驚きのデザイン」は、ユーザーが持つ日常への思い込みや「こうなるだろう」という思い込みを覆し、驚かせることで、直感のデザインの疲れを拭い去ります。
ですので、「驚きのデザイン」の構造は以下のようになっています。

1. 誤解 自発的に「〇〇するのかな?」という誤った仮説を立てる
2. 試行 自発的に「〇〇してみよう」と試しに行動を起こす
3. 驚愕 自発的に「〇〇は間違いだった」と驚く

驚きのデザインのポイントは、前提や日常への思い込みを外すということなので、以下の10のタブーを意識することで、良い体験デザインが作れます。

1. 性: ときめく感じ、エッチな感じ
2. 食: 美味しそう感、腹減った感
3. 損得: お金欲しい感、損したくない感
4. 承認: 認められた感、所属してる感
5. けがれ: 汚い感、罪悪感
6. 暴力: 痛い感、一方的感
7. 混乱: 間違ってる感、クラクラ感
8. 死: 死に近づく感、オカルト感
9. 射幸心と偶然: 賭けている感、祈っている感
10. プライベート: 恥ずかしい感、秘密感

「つい」誰かに言いたくさせてしまう

「直感のデザイン」と「驚きのデザイン」を組み合わせることで、直感的かつ飽きることのない長時間の体験をデザインすることができます。しかし、その体験に意義がなければユーザーの心は動きません。そこで必要となってくるのが「物語のデザイン」です。

誰かに言いたくさせてしまう物語のデザインに入る前に考えなければならないのは、「そもそもゲームの意義は何か」ということです。時間の無駄と思われてしまえばそれまでですし、何かゲームをプレイする意義がなければなりません。

著者によると、ゲームの意義は「プレイヤーが成長すること」です。ゲームの中で展開される架空の物語は、あくまでプレイヤーが成長する体験をデザインするための手段にすぎません。

なので、ゲームという物語を通して、ユーザーがどのように成長するかということを考慮しなければならず、また、ゲームという物語に入り込んでもらわなければなりません。そのために、まずはユーザーを翻弄するところから始めます。

脳は物語を語る臓器だといえるほど、たくさんの目の前の情報を処理しながら、過去のストーリーと照らし合わせ、結局今目の前で起こっていることは〇〇だとストーリーを作り出します。その性質を利用し、一見わからない断片的な情報を提示し、翻弄するのです。
その翻弄の具体的なテクニックは以下の3つがあります。

1. 環境ストーリーテリング
– 環境の中に配置された断片的な情報をユーザーが自発的に集めながら、物語を構築していく方法
2. テンポとコントラスト
– シーンに含まれる情報量と受動的/能動的をコントロールする方法
3. 伏線
– ある情報の真意を提供した段階ではなく、時間差で気づかせる方法


次にどのようにユーザーを成長させるかについてです。ここでいう成長は定義が難しいのですが、よりできるようになる、知識を得る、決断力を得るというように認識しておくと良いと思います。

ユーザーの成長を促すために使われるテクニックは以下の3つがあります

1. 収集と反復のモチーフ{ 穴と全体像→収集と反復→成長 }
– コレクション、集めるという行為を繰り返す方法。
2. 選択と裁量のモチーフ { リスクとリターン→選択と裁量→成長 }
– 複数の選択肢の中から、ユーザーの意志によって選択し、物語を進めていく方法。
3. 翻意と共感のモチーフ{ 面倒な同行者→翻意と共感→成長 }
– ユーザーを苛立たせるように設計された同行者を痛め付け、ユーザーに共感を抱かせる。憎しみから共感を抱かせるというところまで、ユーザーを成長させる方法。

次にユーザーに究極の選択をさせ、自ら物語を進めるという意志を持たせる段階です。この段階を経験することで、ユーザーは他の誰かに自分の物語を語りたいという気持ちを持つのです。
究極の選択の例としては、今まで歩んできた同行者を殺すか殺さないか、旅を終わらせるか終わらせないか、などゲームによって様々です。テーマとしては、命のやり取りがある、未知の体験であるといったものが重要となります。

以上をまとめると、物語のデザインの構造は以下のようになっています。

1. 翻弄  物語を理解しようとするプレイヤーを翻弄し、物語らせる
2. 成長  物語中の主人公同様、プレイヤーを成長させる
3. 意志  プレイヤー自身の意志で運命を切り開かせる

多くのゲームが最終的にスタート地点に戻ってくるよう設計されているのは、ゲームを開始した時と終了した時のプレイヤー自信を比較させることで、成長を実感させているのですね。

最後に、体験デザインの正体について考慮します。
体験デザインとは、幾多の感情を一手ずつ繰り出し、その時その時の文脈を作りながら、ユーザーの心を動かしていくということです。

整理すると、体験→感情→記憶という順番で処理され、心に残っていきます。
この分野は、多くの専門分野にまたがり、まだまだ研究されている段階で、急速に知見が溜まってきているそうです。この後どのように発展していくのか楽しみです。


興味のある方は、こちらからご購入いただければと思います。


フォローして最新情報をチェック!

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。